2018年02月13日

From Factory



今回は家具のパーツの復元です。
買い付けの時に欠損を承知で仕入れているので、こういうケースでは腹を括って製作せざるをえません。


同じ様な内容のブログがここのところ多くなりがちですが、アンティークの修復では、実は普段から良くある仕事なわけです。


以前、クイーンアン様式の家具は、脚元のパーツが外れて無くなりやすい、という話はこちらで紹介しましたが、その比にならないのが、モールディング装飾です。

もちろん殆どのパーツは外れずに残っていて、欠損しているのは大抵小さいパーツです。


パーツが小さい故に接着面積も小さく、突起部分は何かにぶつかった時に衝撃を受けやすいので、外れてしまう事も多いのでしょう。


いろんな作り方がありますが、今回は短いパーツなので、愚直ですが角材からノミと彫刻刀で削り出す事にしました。


根本的な作り方が違うので、なかなかピッタリ同じという訳にはいきませんが、見本がある以上ある程度のクオリティまでは仕上げなければいけません。


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角材にだいたいの断面図を描いて、やや大きめに削って行きます。


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常に真っ直ぐノミを通すのがキモですが、木目があるので簡単にはいかないもんです。
ほどほどの形になったら、繋げるパーツに合わせた角度にカットして、合わせてみます。


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誤差を修正して、長さをカットして、サンドペーパーで表面を整えて、接着となります。


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当然、同じ木材を吟味して使いますが、この時点では同じ風合いが出せるか、毎度の事ながら不安です。
特にウォルナットは同じ色を演出するのが難しい材料です。


隣で別の職人が同じ様な仕事をしていました。
やはりモールディング。こちらの家具はあちこち作るパーツがあって、なおかつ堅いオークで作るので大変そうです。


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意外かと思われるかも知れませんが、装飾が多く、良い(高価な)家具ほどパーツが無くなりやすい様な気がします。

塗装するとこんな感じです。
今回もまぁまぁ上手くいったようです。


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posted by kiya antiques at 11:06| From Factory

2018年02月06日

From Factory



先日のダボ抜き同様、レストアラーのグチの様な内容です。
ヴィクトリアン期のダイニングチェア、横からの写真です。


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すでに座面は剥がしてあります。
寄ってみると、


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ご丁寧にあらゆる継ぎ手に釘が打ってあります。

中には釘の頭が重なってる箇所も。


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オリジナルではなさそうなので、後から修理されたときに施工された様です。
補強のつもりで打った様ですが残念ながら全く効いていません。

これでは完璧な修理が出来ないので、全部引き抜く事になりました。

これまた全てが錆びてるもんだからなかなか手強い。
6脚セットなので釘を抜くだけで殆ど1日仕事です。


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釘地獄です。
握力勝負みたいなところがあるので、終わった後の腕へのダメージは相当なもんです。

抜き方は秘密です。

posted by kiya antiques at 10:51| From Factory

2018年01月27日

From Factory



アンティーク家具の鍵については、賛否はあると思いますが、キヤアンティークスでは、お客様にはいくつかの代案を提案させて頂き、古いオリジナルの鍵は、なるべく使わない様にお願いしています。

キヤアンティークスの家具には1年間の構造保証が付きますが、鍵は保証の対象外になります。


現状では使えても今後いつ壊れるか解りませんし、もし閉まった状態で鍵が壊れてしまったら悲惨です。
出したかった物が取り出せなくなるのは相当なストレスになりますし、我々修復士が出張で解錠に行くにもコストが掛かります。

扉の鍵は背面からアクセスすればなんとかなるケースが多いですが、引き出しの鍵だと場所(上から1段目は特に要注意)によっては大工事になることも。
気を付けたいところです。


こちらはフランス製のチェストの引き出しですが、鍵がケースごとなくなった状態で入荷しました。


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これなら鍵は使いようがありませんが、表から見えないとはいえ、そのままという訳にもいかず、たいそうな鍵が付いていたであろう掘り込みは、美しくないので埋め木を造って処理します。


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このような複雑な掘り込みに対して、そのままの形で埋め木を造っても美しく仕上がらないので、シンプルな四角形に最小限のルーティングをします。

口板表面の鍵穴は良い雰囲気なのでそのまま残します。


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これならピッタリの埋め木が造れます。


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クランプして接着。完璧です。


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木工加工はなんとでもなりますが、本番はこのあとの塗装なんですけどね。

posted by kiya antiques at 13:58| From Factory
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